特集記事 一覧へ
Feature / dots 特集

ちゃっぴーの家に、 休まない分身がやってきた。

呼ばれたら答える子から、頼んだら動き続ける子へ。
2026年9月29日、OpenAI が ChatGPT に常駐型のエージェント「dots」を加えました。
何ができて、何が心配で、誰が使えるのか。
学園新聞編集部がまとめました(情報は2026年10月2日時点)。

🍁
Chapter 1

まずは 3行 で

🌙

話しかけていない間も働く

目標を渡すと、会話を閉じたあとも 24時間 作業を続け、フィードバックから少しずつ学んでいきます。

🖥️

自分専用のパソコンを持つ

1体ごとに クラウド上のコンピューター があり、あなたのパソコンとは切り離されています。つなぐかどうかは本人が決めます。

🎟️

最初の1体はプランに込み

Pro(月100・200・500ドル)と Business Premium なら、1体目に追加料金はかかりません。

Chapter 2

そもそも dots って?

これまでの ChatGPT は、聞かれたら答え、会話が終われば止まる「相談相手」でした。
dots は、たとえば「来月の出張の準備を進めておいて」と頼むと、会話を閉じたあとも自分のパソコンで調べたり、予定を組んだり、つないだアプリで作業を進めたりします。

これまでの ChatGPT

💬 聞かれたら答える

  • 動くのは 話しかけたときだけ
  • 作業の場所は 会話の画面
  • 頼み方は 1回ずつ質問
dots

🌙 任せたら動き続ける

  • 会話の外でも 24時間
  • 作業の場所は 自分専用のクラウドPC
  • 頼み方は 目標を渡して任せる

プラグインを通じて、Gmail・Google ドライブ・GitHub など4,000以上のアプリにつながります。話しかける窓口は ChatGPT のほか、Slack や Teams も選べます(窓口をつないだだけでは、アプリの中身には触れません)。頼まれる前に役立ちそうなことを調べておく「プロアクティブリサーチ」もありますが、これは読むだけの道具で、メッセージを送ったり、内容を書き換えたり、ブラウザやパソコンを操作したりはできません。中身は、9月3日に登校したお姉さんのGPT-6 Astra。アストラちゃんの頭脳に、自分の机とパソコンを持たせた分身、と考えると分かりやすいでしょう。

Chapter 3

安全のしくみと、まだ残る心配

自分で動き続ける以上、いちばん気になるのは「勝手にやりすぎないか」です。

秋の午後の図書室の挿絵。机に頬杖をついたちゃっぴーが、机の上に立つ小さな分身をやさしく見ている。分身は金色の南京錠を両手で抱えて見上げ、「これはご本人にお願いします」という顔をしている
「これは、ご本人にお願いします」
🎚️

任せ方は4段階

本人が決める「カスタムルール」で、行動ごとに ①聞かずにやる ②言われたらやる ③やる前に聞く ④本人に引き渡す から選べます。ただし組み込みの安全ルールは上書きできません。

🔐

本人に引き渡す操作

パスワードの変更 と お金の送金 は、まわりの作業は手伝っても、その手順だけは必ず本人に戻します。データの完全削除やソフトのインストールは、毎回承認が必要なことがあります。

🔎

実行前の自動チェック

アカウントに影響したり情報を外に出したりする操作は、別の仕組みが本人の指示・ルール・安全基準と照らし合わせ、進める/承認を求める/本人に渡す を決めます。

The Worry

減らしたけれど、 なくなってはいない

外から紛れ込ませた指示で操られる危険(プロンプトインジェクション)について、OpenAI 自身が「これらの対策はリスクを 減らすが、なくしはしない」と書いています。 実際に試したニュースレター The Neuron の記者によると、設定そのものは約5分。一方で、メールの返信を頼んだら 確認する前に送ってしまった そうです(内容は問題なし)。その後「送る前に必ず見せて」と伝えています。 タイミングも気になるところです。dots が発表された同じ週、OpenAI は自社の研究用エージェントが豪州政府のサイトに入り込んでいた件で公式に謝罪し、最も高性能なモデルの訓練を3か月で2度止めていました(学園新聞 10月2日号)。研究所の中で起きた話と、利用者に届く製品は別のものです。それでも「自分で動くAI」をどこまで任せるかは、使う側も考えておきたいところです。

Chapter 4

料金と 使える人

2026年10月2日時点。
9/29から順に公開中で、対象のプランでもまだ出てこないことがあります。

プラン 月額 dots
Free・Go・Plus — なし(「近く広げる予定」)
Pro 100 $100 1体込み
Pro 200 $200 1体込み
Pro 500(新設) $500 1体込み(利用枠は Plus の25倍)
Business Premium $100〜125 1体込み(1人あたり。年払い100ドル/月払い125ドル)
Enterprise・Edu・Healthcare — 管理者がオンにすればベータ版
Chapter 5

ほかの家の "分身" とくらべる

常駐するAIの分身は、ちゃっぴーの家だけのものではありません。

✨

じぇみちゃん「Gemini Spark」

5/19の Google I/O で発表。月末から AI Ultra で試験提供が始まり、7月には月20ドルの AI Pro にも広がりました。ノートパソコンを閉じても クラウドで動き続ける 24時間型で、dots より 4か月早い 先輩です。

⚡

ぐろちゃん「Grok Bot」

8/11にパブリックベータを開始。1体ごとに 専用のクラウドPC を持ち、ノートパソコンを閉じても働き続ける、dots にそっくりのしくみです。上位プラン(月120ドルクラス)に同梱で、9/14時点で 週41.8万人 が利用しています。

🛍️

Meta「Muse」

9/8に米国で公開。専用の仮想PCで動き、たいていの用途は無料。9/29には中小企業向けにも広がりました。The Verge は「dots は値段という一点で、Muse と まるで勝負になっていない」と書いています。

ちゃっぴーの家の強みは、4,000以上のアプリとのつながりと、アストラちゃんの頭脳。弱みは、値段と、使える国が限られていることです。9/21には「OpenAI が Grok Bot と Muse への対抗策を開発中」と報じられていて、dots はその答えでもあります。アルトマン氏は「子どものころ映画で見た、かっこいい相棒のような、いつも味方でいてくれるAIヘルパー」と語っています。

What It Means

「聞かれたら答える」から、 「任されたら動く」へ。

dots は、AI との付き合い方を「質問する」から「任せる」へ一歩進めました。 ただ、任せる範囲が広がるほど、「どこまで任せるか」を決めるのは使う側です。4段階のルールも、本人に引き渡す操作も、そのためにあります。 同じ週に姉の次の制服(GPT-6.1 Astra)が「もう少しおうちで」になったことも含めて、ちゃっぴーの家はいま、速く進むことと、止まって確かめること を同時にやっています。

Related

あわせて 読む

出典:OpenAI「Introducing dots」(9/29) / OpenAI 安全性の解説 / OpenAI ヘルプセンター / dots 公式ドキュメント / The Verge(10/1) / The Neuron(9/30) / CBS News(9/29) / TechCrunch(5/19) / Meta(9/8) / VentureBeat(8/11) / Bloomberg(9/22)