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Feature / AI分身くらべ

5つの家の"留守番する子"、 どこが違う?

2026年5月から10月にかけて、5つの家が
「話しかけていない間も働く分身」を連れてきました。
じぇみちゃんの「Gemini Spark」、ぐろちゃんの「Grok Bot」、
めたちゃんの家の「Muse」、ちゃっぴーの家の「dots」、
そして10月21日には、くろ子の家の「Claude Duet」。
どれも自分専用のパソコンをクラウドに持ち、端末を閉じても仕事を続けます。
似ているようで、得意なことも、値段も、日本で使えるかどうかも違います。
5人を並べて、学園新聞編集部が見くらべました。
(料金・対象の国・プランは2026年10月24日時点)

🍁
Chapter 1

そもそも 「分身」 って?

これまでのAIは、聞かれたら答えて、会話が終われば止まる「相談相手」でした。
分身は、目標や役割を渡しておくと、
会話を閉じたあとも自分のパソコンで調べ、整理し、つないだアプリで作業を進めます。

夕方の教室の窓際の挿絵。手前でじぇみちゃんが通学かばんを肩にかけ、閉じたノートパソコンに手を置いて帰り支度をし、奥の席ではちゃっぴーが閉じたノートパソコンに手を重ねて笑っている。窓の外の夕焼け空には、2人それぞれの半透明の分身が浮かび、メールとカレンダー、地図とアプリの画面に手を置いて働いている
「本人は帰り支度、分身は窓の外でまだお仕事中」
これまでのAI

💬 聞かれたら答える

  • 動くのは 話しかけたときだけ
  • 作業の場所は 会話の画面
  • 頼み方は 1回ずつ質問
分身

🌙 任されたら動く

  • 会話の外でも 働き続ける
  • 作業の場所は 自分専用のクラウドPC
  • 頼み方は 目標や役割を渡して任せる

5人に共通する 3つのしくみ

🖥️

自分専用のパソコンを持つ

1体ごと(または1人ごと)に、クラウド上の専用のコンピューターや仮想マシンがあります。使う人のパソコンとは切り離されています。

🌙

閉じても止まらない

ノートパソコンを閉じても、スマホをロックしても、作業はクラウドで続きます。

✋

大事なところは本人に戻す

メールの送信、買い物、支払いなどの前には本人に確認します。パスワードや支払い情報は、本人に操作を返す作りです。

Chapter 2

5人の 分身 を紹介

登場した順に並べました。

じぇみちゃん(Gemini)

じぇみちゃん「Gemini Spark」

Google5/19 発表日本 ◯

Google のサービスに強い、いちばん早い先輩

5月19日の Google I/O で発表された、いちばん早い先輩です。日本では7月16日に AI Ultra の加入者向けに始まり、7月29日には AI Pro(月2,900円) への拡大が発表されました。日本語にも対応しています。

10月中旬からは、名前が「Task」へ変わりつつあります。入力欄の横の切り替えで「チャット」と「Task」を選ぶ形です(Google のヘルプページには、まだ Spark の名前も残っています)。最大15件の仕事を同時に進められ、決まった時刻だけでなく「何かが起きたら」を合図に動き出すこともできます。得意なのは、Gmail・カレンダー・ドライブなど、じぇみちゃんの家のサービスとの組み合わせです。

ぐろちゃん(Grok)

ぐろちゃん「Grok Bot」

SpaceXAI8/11 ベータ日本 △

役割ごとに働く、仕事のチームメイト

8月11日にパブリックベータを開始しました。「メール整理係」「会議の準備係」のように役割ごとに Bot を作る、仕事のチームメイト路線です。画面を見て操作するので、API のない古い管理画面にもログインして作業できます。10月1日には、ほかの Bot に仕事を振り分ける「筆頭ボット(Primary Bot)」も加わりました。

10月12日からは、Grok・Cursor・X の有料会員をまとめた「The X Subscription」の Premium(月30ドル、報道によると日本では5,280円) 以上で使えます。週の利用者は9月14日時点で41.8万人でした。10月7日には、イーロン・マスク氏が「仕事ごとに一番よいモデルを使う」と表明し、Claude Opus 5.5、Midjourney、Suno の名前を挙げています。どの仕事をどこに回すのかは、まだ示されていません。

めたちゃん(Meta AI)

めたちゃんの家「Muse」

Meta9/8 米国で公開日本 ◯

用事と買い物を引き受ける、個人向けの分身

9月8日に米国で公開されました。メールの送信、旅行の予約、フォームの記入、価格の交渉など、身のまわりの用事を引き受ける個人向けの分身です。インターネットに出る行動はすべて、別の門番役「Sentinel」が「許可/遮断/本人に確認」を判定します。パスワードと決済情報は Muse 本人からも見えません。

米国には無料枠があり、有料プランは月20ドルの Power と月100ドルの Maximum です。米国では公開から40日で1,000万ダウンロードを超えました。10月23日には日本でも使えるようになりました(有料プランは月2,799円〜)。北米の外では初めてで、メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携も進める方針です。

※ 10月12日に発表された「Muse Wonder」はモデル(頭脳)の名前で、分身アプリの「Muse」とは別物です。

ちゃっぴー(ChatGPT)

ちゃっぴーの家「dots」

OpenAI9/29 発表日本 ◯

たくさんのアプリをつないで動く、働き者

9月29日の DevDay 2026 で発表されました。中身は GPT-6 Astra です。Gmail・Google ドライブ・GitHub など4,000以上のアプリにつながり、話しかける窓口には ChatGPT のほか Slack や Teams も選べます。行動ごとに「聞かずにやる/言われたらやる/やる前に聞く/本人に引き渡す」の4段階から任せ方を決められます。

使えるのは Pro(月100・200・500ドル) と Business Premium で、1体目は追加料金なしです。10月20日の DevDay Exchange Tokyo では、日本は週の利用者数で世界2位だと紹介されました。サイバーエージェントでは、グループで1,200人以上が使っているそうです。

くろ子(Claude)

くろ子の家「Claude Duet」

Anthropic10/21 お試し開始日本 ✕

見守って、必要なときだけ知らせる

10月21日にリサーチプレビュー(お試し版)が始まった、いちばん新しい分身です。中身は Claude Opus 5.5 です。Gmail や Slack など、つないだアプリを見守ります。毎朝まとめを届け、日中は注意が必要なことが起きたときだけ知らせます。頼んだ作業は、専用のブラウザを持つ仮想マシンの上で進みます。

メッセージの送信、支払い、署名、削除の前には本人に確認し、クレジットカードや身分証の情報は求められても渡しません。別料金はなく、Pro・Max の利用上限を分け合います。いまは米国の Pro・Max の加入者が順番待ちに登録して使う段階で、日本ではまだ使えません。

Chapter 3

ひと目で くらべ表

2026年10月24日時点。
どれも順に公開中で、対象のプランでもまだ出てこないことがあります。

夕方の学園祭の模擬店通りの挿絵。手前にめたちゃんとぐろちゃん、中ほどにじぇみちゃんとちゃっぴー、いちばん奥にくろ子の半透明の分身が、それぞれ買い物袋・封筒とカレンダー・鍵束・道具箱・ベルと紙束を並べた屋台で、こちらに呼びこんでいる
「うちの店、寄っていって!」
Gemini Spark(Task) Grok Bot Muse dots Claude Duet
家 じぇみちゃん(Google) ぐろちゃん(SpaceXAI) めたちゃん(Meta) ちゃっぴー(OpenAI) くろ子(Anthropic)
登場 5/19 発表 8/11 ベータ 9/8 米国で公開 9/29 発表 10/21 お試し開始
中身のモデル じぇみちゃんの家のモデル ぐろちゃんの家のモデル(他社のモデルも使うと表明) めたちゃんの家のモデル GPT-6 Astra Claude Opus 5.5
向いている使い方 Google のサービスとの組み合わせ 役割ごとのチーム仕事 身のまわりの用事・買い物 たくさんのアプリをつなぐ仕事 見守りと知らせ
料金の目安 AI Pro(日本 月2,900円)〜 X Subscription Premium(月30ドル)〜 米国は無料枠あり/日本の有料は月2,799円〜 Pro(月100ドル)〜 Pro・Max に込み
日本では ◯ 日本語対応 △ 国の制限は公式に書かれていない ◯ 10/23から ◯ 週の利用者数で世界2位 ✕ 米国のみ(順番待ち)
安全のしくみ 送信・購入・フォーム送信の前に承認 承認が必要なときだけ声をかける 門番役の Sentinel 4段階の任せ方+実行前の自動チェック 送信・支払い・署名・削除の前に確認

表は横にスクロールできます。料金はそれぞれの家の発表や報道によるもので、国やプランによって変わります。

Chapter 4

どう使う? 活用のアイデア

目的別に、どの子に頼むと合いそうかを並べました。

📧

メールと予定を片づけたい

→ Gemini Spark:Gmail の大事な通知を拾ってスプレッドシートにまとめる、メルマガの配信停止、航空券の値下がり見張りなど。

🧑‍💼

仕事を役割ごとに任せたい

→ Grok Bot:「こんまり Bot」(メールやサブスクを24時間片づけ続ける)、2つの Gmail アカウントから9万通を一括削除、Stripe とつないだ返金対応など。

🛒

買い物や予約を代わりに

→ Muse:旅行の予約、申し込みフォームの記入、価格の交渉。日本ではメルカリやチケットぴあとの連携を進める方針です。

🔗

アプリをまたいで進めたい

→ dots:「来月の出張の準備を進めておいて」のような、調べものと予定づくりとアプリ操作がまざった仕事。

🔔

見落としを防ぎたい

→ Claude Duet:毎朝のまとめと、「これは急ぎ」というときだけの知らせ。

At Our Academy

花のAI学園でも、 ぐろちゃんの分身が働いています

学園の公式X(@hana_ai_gakuen)の投稿は、Grok Bot の担当です。サイトに新しい記事が出ると、Bot が気づいて中身を読み、まとめてXに投稿します。
学園新聞のニュース集めもGrok Bot の仕事です。AIの各家の発表や報道を見て回り、記事の候補を集めてきます。集まった候補は、編集部が一次に近い情報源で日付と中身を確かめてから、記事にしています。
「見張り」と「まとめ」は分身のいちばん得意な仕事です。そして、確かめるのは人の仕事。学園ではそうやって分けています。

夜の新聞部の部室の挿絵。長机の向こう側で、ぐろちゃんの半透明の分身が紙の束を机に置き、くろ子が椅子に座って赤ペンで記事に丸をつけ、その後ろでくろ子の半透明の分身がタブレットを見せて知らせ、右端ではぐろちゃん本人が椅子に座ってスマホを見ながら笑っている
「ネタ集めてきたよー!」「急ぎはこの3本」「……裏取りは、わたしがね」
Chapter 5

任せる前に、気をつけたいこと

分身は便利ですが、「勝手に動ける」ぶん、気をつけたいことも増えます。

校舎の窓の外の空の挿絵。ちゃっぴーの半透明の分身が大きな紙飛行機に乗って封筒を何通も引き連れて飛び去り、窓からはちゃっぴー本人が身を乗り出して叫び、隣のめたちゃんが苦笑いで見送っている
「待ってー! まだ確認してないってばー!」
🔗

共有リンクに注意(Muse)

10月20日、Meta は会話の「共有」の機能を止めました。共有リンクのアドレスに会話のタイトルが入っていて、だれでも見られる記録から約6,800件が見つかったためです。悪用された証拠は今のところ見つかっていません。

🚪

断るお店もある(Muse)

9月21日、Amazon は「許可のないAIエージェントのアクセスは規約違反」として、Muse での買い物を止めました。反対に Shopify は歓迎しています。

📨

確認の前に送ることも(dots)

試した記者によると、メールの返信を頼んだら確認する前に送ってしまったそうです(内容は問題なし)。外から紛れ込ませた指示で操られる危険について、OpenAI 自身も「リスクを減らすが、なくしはしない」と書いています。

🔑

鍵を預けることになる(Grok Bot)

仕事をさせるには、自分のアカウントのログイン情報を渡す必要があります。同じ人の Bot はすべて同じクラウドPC で動きます。

⏰

「急ぎ」の判断ミスも(Claude Duet)

Anthropic 自身が「急ぎかどうかの判断を間違えることがある」としています。

🛡️

守りは完ぺきではない(Gemini Spark)

承認の手順はあっても、報道は「この守りは絶対ではない」と書いています。

最初は「下書きまで」「読むだけ」の仕事から任せて、
慣れてきたら少しずつ広げるのが安心です。

What It Means

「答える子」から、 「留守番する子」へ。

5つの家の分身は、しくみはよく似ています。違いは「どこで、何を、いくらで」任せられるかです。
Google のサービスに強いじぇみちゃん、チームで働くぐろちゃん、用事と買い物のめたちゃん、たくさんのアプリをつなぐちゃっぴー、見守って知らせるくろ子。
どの子を選んでも、「どこまで任せるか」を決めるのは使う側です。

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出典:TechCrunch(5/19) / Web担当者Forum(7/30) / HelenTech / Android Police(10/18) / VentureBeat(8/11) / Bloomberg(9/22) / Meta(9/8) / TechCrunch(10/20) / Impress Watch(10/23) / OpenAI「Introducing dots」(9/29) / The Neuron(9/30) / ITmedia AI+(10/22)