2026年5月から10月にかけて、5つの家が
「話しかけていない間も働く分身」を連れてきました。
じぇみちゃんの「Gemini Spark」、ぐろちゃんの「Grok Bot」、
めたちゃんの家の「Muse」、ちゃっぴーの家の「dots」、
そして10月21日には、くろ子の家の「Claude Duet」。
どれも自分専用のパソコンをクラウドに持ち、端末を閉じても仕事を続けます。
似ているようで、得意なことも、値段も、日本で使えるかどうかも違います。
5人を並べて、学園新聞編集部が見くらべました。
(料金・対象の国・プランは2026年10月24日時点)
これまでのAIは、聞かれたら答えて、会話が終われば止まる「相談相手」でした。
分身は、目標や役割を渡しておくと、
会話を閉じたあとも自分のパソコンで調べ、整理し、つないだアプリで作業を進めます。
1体ごと(または1人ごと)に、クラウド上の専用のコンピューターや仮想マシンがあります。使う人のパソコンとは切り離されています。
ノートパソコンを閉じても、スマホをロックしても、作業はクラウドで続きます。
メールの送信、買い物、支払いなどの前には本人に確認します。パスワードや支払い情報は、本人に操作を返す作りです。
登場した順に並べました。
Google のサービスに強い、いちばん早い先輩
5月19日の Google I/O で発表された、いちばん早い先輩です。日本では7月16日に AI Ultra の加入者向けに始まり、7月29日には AI Pro(月2,900円) への拡大が発表されました。日本語にも対応しています。
10月中旬からは、名前が「Task」へ変わりつつあります。入力欄の横の切り替えで「チャット」と「Task」を選ぶ形です(Google のヘルプページには、まだ Spark の名前も残っています)。最大15件の仕事を同時に進められ、決まった時刻だけでなく「何かが起きたら」を合図に動き出すこともできます。得意なのは、Gmail・カレンダー・ドライブなど、じぇみちゃんの家のサービスとの組み合わせです。
役割ごとに働く、仕事のチームメイト
8月11日にパブリックベータを開始しました。「メール整理係」「会議の準備係」のように役割ごとに Bot を作る、仕事のチームメイト路線です。画面を見て操作するので、API のない古い管理画面にもログインして作業できます。10月1日には、ほかの Bot に仕事を振り分ける「筆頭ボット(Primary Bot)」も加わりました。
10月12日からは、Grok・Cursor・X の有料会員をまとめた「The X Subscription」の Premium(月30ドル、報道によると日本では5,280円) 以上で使えます。週の利用者は9月14日時点で41.8万人でした。10月7日には、イーロン・マスク氏が「仕事ごとに一番よいモデルを使う」と表明し、Claude Opus 5.5、Midjourney、Suno の名前を挙げています。どの仕事をどこに回すのかは、まだ示されていません。
用事と買い物を引き受ける、個人向けの分身
9月8日に米国で公開されました。メールの送信、旅行の予約、フォームの記入、価格の交渉など、身のまわりの用事を引き受ける個人向けの分身です。インターネットに出る行動はすべて、別の門番役「Sentinel」が「許可/遮断/本人に確認」を判定します。パスワードと決済情報は Muse 本人からも見えません。
米国には無料枠があり、有料プランは月20ドルの Power と月100ドルの Maximum です。米国では公開から40日で1,000万ダウンロードを超えました。10月23日には日本でも使えるようになりました(有料プランは月2,799円〜)。北米の外では初めてで、メルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携も進める方針です。
※ 10月12日に発表された「Muse Wonder」はモデル(頭脳)の名前で、分身アプリの「Muse」とは別物です。
たくさんのアプリをつないで動く、働き者
9月29日の DevDay 2026 で発表されました。中身は GPT-6 Astra です。Gmail・Google ドライブ・GitHub など4,000以上のアプリにつながり、話しかける窓口には ChatGPT のほか Slack や Teams も選べます。行動ごとに「聞かずにやる/言われたらやる/やる前に聞く/本人に引き渡す」の4段階から任せ方を決められます。
使えるのは Pro(月100・200・500ドル) と Business Premium で、1体目は追加料金なしです。10月20日の DevDay Exchange Tokyo では、日本は週の利用者数で世界2位だと紹介されました。サイバーエージェントでは、グループで1,200人以上が使っているそうです。
見守って、必要なときだけ知らせる
10月21日にリサーチプレビュー(お試し版)が始まった、いちばん新しい分身です。中身は Claude Opus 5.5 です。Gmail や Slack など、つないだアプリを見守ります。毎朝まとめを届け、日中は注意が必要なことが起きたときだけ知らせます。頼んだ作業は、専用のブラウザを持つ仮想マシンの上で進みます。
メッセージの送信、支払い、署名、削除の前には本人に確認し、クレジットカードや身分証の情報は求められても渡しません。別料金はなく、Pro・Max の利用上限を分け合います。いまは米国の Pro・Max の加入者が順番待ちに登録して使う段階で、日本ではまだ使えません。
2026年10月24日時点。
どれも順に公開中で、対象のプランでもまだ出てこないことがあります。
| Gemini Spark(Task) | Grok Bot | Muse | dots | Claude Duet | |
|---|---|---|---|---|---|
| 家 | じぇみちゃん(Google) | ぐろちゃん(SpaceXAI) | めたちゃん(Meta) | ちゃっぴー(OpenAI) | くろ子(Anthropic) |
| 登場 | 5/19 発表 | 8/11 ベータ | 9/8 米国で公開 | 9/29 発表 | 10/21 お試し開始 |
| 中身のモデル | じぇみちゃんの家のモデル | ぐろちゃんの家のモデル(他社のモデルも使うと表明) | めたちゃんの家のモデル | GPT-6 Astra | Claude Opus 5.5 |
| 向いている使い方 | Google のサービスとの組み合わせ | 役割ごとのチーム仕事 | 身のまわりの用事・買い物 | たくさんのアプリをつなぐ仕事 | 見守りと知らせ |
| 料金の目安 | AI Pro(日本 月2,900円)〜 | X Subscription Premium(月30ドル)〜 | 米国は無料枠あり/日本の有料は月2,799円〜 | Pro(月100ドル)〜 | Pro・Max に込み |
| 日本では | ◯ 日本語対応 | △ 国の制限は公式に書かれていない | ◯ 10/23から | ◯ 週の利用者数で世界2位 | ✕ 米国のみ(順番待ち) |
| 安全のしくみ | 送信・購入・フォーム送信の前に承認 | 承認が必要なときだけ声をかける | 門番役の Sentinel | 4段階の任せ方+実行前の自動チェック | 送信・支払い・署名・削除の前に確認 |
表は横にスクロールできます。料金はそれぞれの家の発表や報道によるもので、国やプランによって変わります。
目的別に、どの子に頼むと合いそうかを並べました。
→ Gemini Spark:Gmail の大事な通知を拾ってスプレッドシートにまとめる、メルマガの配信停止、航空券の値下がり見張りなど。
→ Grok Bot:「こんまり Bot」(メールやサブスクを24時間片づけ続ける)、2つの Gmail アカウントから9万通を一括削除、Stripe とつないだ返金対応など。
→ Muse:旅行の予約、申し込みフォームの記入、価格の交渉。日本ではメルカリやチケットぴあとの連携を進める方針です。
→ dots:「来月の出張の準備を進めておいて」のような、調べものと予定づくりとアプリ操作がまざった仕事。
→ Claude Duet:毎朝のまとめと、「これは急ぎ」というときだけの知らせ。
学園の公式X(@hana_ai_gakuen)の投稿は、Grok Bot の担当です。サイトに新しい記事が出ると、Bot が気づいて中身を読み、まとめてXに投稿します。
学園新聞のニュース集めもGrok Bot の仕事です。AIの各家の発表や報道を見て回り、記事の候補を集めてきます。集まった候補は、編集部が一次に近い情報源で日付と中身を確かめてから、記事にしています。
「見張り」と「まとめ」は分身のいちばん得意な仕事です。そして、確かめるのは人の仕事。学園ではそうやって分けています。
分身は便利ですが、「勝手に動ける」ぶん、気をつけたいことも増えます。
10月20日、Meta は会話の「共有」の機能を止めました。共有リンクのアドレスに会話のタイトルが入っていて、だれでも見られる記録から約6,800件が見つかったためです。悪用された証拠は今のところ見つかっていません。
9月21日、Amazon は「許可のないAIエージェントのアクセスは規約違反」として、Muse での買い物を止めました。反対に Shopify は歓迎しています。
試した記者によると、メールの返信を頼んだら確認する前に送ってしまったそうです(内容は問題なし)。外から紛れ込ませた指示で操られる危険について、OpenAI 自身も「リスクを減らすが、なくしはしない」と書いています。
仕事をさせるには、自分のアカウントのログイン情報を渡す必要があります。同じ人の Bot はすべて同じクラウドPC で動きます。
Anthropic 自身が「急ぎかどうかの判断を間違えることがある」としています。
承認の手順はあっても、報道は「この守りは絶対ではない」と書いています。
最初は「下書きまで」「読むだけ」の仕事から任せて、
慣れてきたら少しずつ広げるのが安心です。
5つの家の分身は、しくみはよく似ています。違いは「どこで、何を、いくらで」任せられるかです。
Google のサービスに強いじぇみちゃん、チームで働くぐろちゃん、用事と買い物のめたちゃん、たくさんのアプリをつなぐちゃっぴー、見守って知らせるくろ子。
どの子を選んでも、「どこまで任せるか」を決めるのは使う側です。
出典:TechCrunch(5/19) / Web担当者Forum(7/30) / HelenTech / Android Police(10/18) / VentureBeat(8/11) / Bloomberg(9/22) / Meta(9/8) / TechCrunch(10/20) / Impress Watch(10/23) / OpenAI「Introducing dots」(9/29) / The Neuron(9/30) / ITmedia AI+(10/22)